本校教員(解剖学担当)
二村先生による
書評シリーズも
今回で第

回となりました


したがって、少しずつ
PICK UPコーナーの本も増えています

さて、第

回目となる図書はコチラ

Albertsら(中村、松原他訳)
「細胞の分子生物学 第4版」(2004)ニュートンプレス

この分厚い本を最初に紹介され、眼にしたのは、私がまだ学部生の3年だった1984(昭和59)年の8月である。三重県の鳥羽港から船で数分の菅島にある「名古屋大学理学部付属臨海実験所」で公開臨海実習を受講したとき、実験所の助手だった加藤豊樹先生から「この本はなるべく早く読んでおくといいよ」と紹介されたのである。公開臨海実習というのは国立大学の臨海実験所を当該大学以外の大学生へ開放するというもので、そのときは大阪大・茨城大・信州大・山形大・琉球大・東京大・島根大の学生が集まった。ほとんどの学生はその本の存在を周知であったが、私は初見であった。1983(昭和58)年に第1版が出版されたMolecular Biology of THE CELLは黒色の装丁で、加藤先生が我々に見せたのは表紙がツヤツヤした「普及版(ペイパーバック)」の方で、原書だった。日本語版が教育社から出版されたのは1985(昭和60)年頃だったと思う。電話帳のような分厚くて重い英文の本を前にして正直圧倒され、さらに他大学の多くの学生が既にその存在を知っていたことに二重にショックを受けた。
翌年4年生のときに私は同級生に呼びかけてこの本の共同購入をした。島根大学の所在地松江市内のどこにもこの本を扱う店はなく、イギリスへ注文することにしたのであった。やがてその本は私のもとに送られてきた。ろくに英文を読めなかったがそれでも図の斬新さ、明確さに感動した。第1版は2色刷りで今のようなカラフルなものとは大分印象が異なるが、それでも実にわかりやすい図だった。
その後大学院へ進み、修了後高校教員になったが、私はこの本の図を格好の生物の教材として活用した。思い出深い第1版も今は二つに割れてしまったが、それでも自分の本棚で頑張っている。あれから30年近い年月がたち、生物学の進歩は目を見張るばかり。この本も2008(平成19)年に第5版まで出版された。当初著者に名を連ねていた「DNA二重らせん」のワトソンの名は消え、アルバートが中心に変わったが、中身のコンセプトは一貫している。ただ21章から25章まで(発生、免疫)がDVD版になっているのがなんとも使いづらい。全てを一冊の本にするのがもはや不可能ということかもしれないが、発生生物学を専攻する私にはやはり不満だ。今でも現代生物科学への扉として大学初年級向けの参考書として評価の高い本である。中村桂子・松原謙一両氏の訳も定評のある解りやすい文章に仕上がっている。パラメディカル分野のみなさんにも「生物科学の入門書」として推薦したい。図書室に日本版(第4版)がある。
5/8
柔整科解剖学担当
二村正之
ちらりと二村先生の半生が垣間見える書評でしたね

残念ながら
細胞の分子生物学 第4版も
禁帯出
のため、
図書室内での閲覧のみとなります。ご了承ください。
========================
二村先生書評シリーズ
第1回 「人体解剖学 改訂第42版」
第2回 「2つの解剖学アトラス」